iPS細胞の未来

再生医療の新たな切り札として注目を集めているiPS細胞。万能細胞を患者本人に戻す医療の担い手というイメージが先行していますが、用途はそれだけではありません。

例えばアルツハイマー病のように老年期に至って発病する病気はその発症メカニズムがわかっていないものも少なくありません。発病後に患者を調べても既にかなり進行しているというケースもある為に、原因特定が困難という壁があるのです。

その点iPS細胞は時間をリセットしたような存在と言えます。数十年という長い時間をかけて進行・発症する病気でも。患者のiPS細胞を使えばその長い過程をもう一度再現させ、観察できる可能性があるのです。長い生活習慣と遺伝的要素が複雑に絡み合っている疾病は少なくありません。

そうした疾病の発症メカニズムの解明に、iPS細胞は大きな力を発揮する可能性を持っているのです。実際の治療に使われるよりも先に、発症メカニズムの解明に成果を出すほうが先決ではという考えもあるようです。

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